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暗黙知見える化とは

「暗黙知見える化」というのは、熟練者が持つカン、コツ、ノウハウ等の暗黙知(非言語情報)を言語化、図像化して、目に見えるようにし(可視化し)、熟練者以外の人がその暗黙知を学習して自分で使えるように支援することです。

言い換えると、どんな企業にも存在する重要な仕事について高度な熟練技術・技能を持つ熟練者の暗黙知を可視化し、その暗黙知を非熟練者が効率よく習得できるように工夫したシステム( これを「暗黙知高速学習システム」と言います )をその企業内に構築する、お手伝いをすることです。

つまり、 一定期間の継続的なコンサルティング活動を通じて、企業内に「暗黙知高速学習システムの構築」をしよう、というわけですね。

なぜ弁理士事務所が?

「業務の見える化」とか「仕事の可視化」などの言葉は、以前からお聞きになったことがあると思います。が、「暗黙知の見える化」という言葉は、聞き慣れない言葉でしょう!?

「暗黙知の見える化」 とは、熟練者の仕事に含まれるカン・コツ・ノウハウのような暗黙知を可視化して、その暗黙知を非熟練者でも容易に学習(体得)できるようにすることです。「暗黙知高速学習システムの構築」 と言い換えることも可能です。

暗黙知高速学習システムの構築」 を実践すると(正確に言うと、さらに見える化した暗黙知を社内で活用すると)、すごく大きな効果があると思いますし、複数の友人からもそのように言われています。(実際、一部の企業は、似たようなことを実行して成果を上げています。)

そこで、このような相談室を設けました。2021年現在で、国内でこのような業務を提示した弁理士事務所は、他にないと思います。日本で最初ですかね。調べたわけではありませんが。

なぜ、こんなことを始めたのでしょうか?

また、なぜ実施するのが弁理士事務所なのでしょう?

さらに、なぜ私(泉)がやることになったのでしょう?

これには深い、深い理由があります。

その理由を知っていただくために、以下の文章を書きました。これをお読みいただければ、その理由をご理解、ご納得いただけると思います。

また、多くの方にも共感いただけるのではないか、と思います。

30年以上の特許実務経験からわかったこと

代表の泉は弁理士です。30年以上、日本を代表する大企業(NEC)を始め、多くの中小企業やベンチャー企業(旭精工(株)、エンブレース(株)、(株)レナテック、(株)ザイキューブ等)の特許を取るお手伝いをしてきました。その間ずっと、「その状況で力の限りを尽くす」というポリシーで仕事をしてきましたので、クライアントには高い評価をいただき、やりがい、達成感も感じてきました。

しかし、その後は、自分のやっていることに疑問を感じ始め、最近は「無力感」が強くなっていました。

それは、苦労して良い特許を取っても、それが直接的にクライアント企業の業績改善につながることが少ないからです。言われるのは、決まって「お金をかけて特許を採ったのに・・・」です。

そうこうしているうちに、あることに気づきました。

「そうだ。企業にとって大事なのは、特許を取ることではないんじゃないか。特許を取るのは、あくまで事業の役に立てるため、競争優位を得るためだ。自己満足だけで事業の役に立たないのなら、特許を取っても意味がない。特許を取る前にやるべき、もっと大事なことがあるんじゃないか」と。

そして、そのもっと大事なことというのは、「仕事を通じて社員の頭や身体の中に培われてきたノウハウやコツといった暗黙知を引き出し、それを言語化・体系化して、知恵に転換する」ということです。

特に、製品の設計ノウハウや、製造工程中の組立ノウハウや加工ノウハウ、店頭での販売ノウハウなど、経験から特定の社員の頭や身体に暗黙的に含まれているノウハウで行われている重要な「判断」(通常、これら業務の本質に当たります)に、焦点を当てて言語化することで、他の社員も利用しやすく価値の高いノウハウに転換できるのです。

従来の業務の合理化は、作業をする人の「動作」に注目し、その動作の仕方を調整することで効率化を図っていましたが、暗黙知の見える化は、人の思考や行動における「判断」や「意思決定」に注目しているのです。この点で両者はまったく異なります。

なお、泉は、決して、特許の価値を否定するわけではありません。一部の企業にとっては、特許はたいへん重要です。特許がないと事業を安心して実施出来ませんから。しかし、特許が高い価値を持つ場合がそれほど多くないので、その対処も考えましょう、ということです。

暗黙知見える化(暗黙知高速学習システム)により得られるベネフィット

ノウハウ等の暗黙知を見える化する手法、つまり 「暗黙知高速学習システム」を構築する手法 は、セミナー、企業研修、コンサルティングの三つの形態で広めて行く予定ですが、これらの活動を通じて暗黙知を見える化する手法を導入した企業は、次のような五つのベネフィット(効用)が得られます。

(ⅰ)業績向上に直接貢献できる

(ⅱ)自信が持てるようになる

(ⅲ)できる社員の高質ノウハウの改良・発展が可能になる

(ⅳ) 熟練者の技術・技能承継が可能になる

(ⅴ) 特許の効率的な取得と活用ができる

どういうことか、個別に説明しましょう。

第一のベネフィット=業績向上に直接貢献できる

第一のベネフィットは、社員の能力(スキル)の底上げ、社員の問題解決能力や付加価値創出能力の向上等が期待できる、ということです。

これは、社員の頭の中にあるノウハウを引き出して言語化できれば、「ノウハウの属人性」という大きな問題がなくなり、ノウハウを「会社の資産」にできるからですね。

特許よりも、企業の業績向上に直接的に貢献できるわけです。

第二のベネフィット= 自信が持てるようになる

第二のベネフィットは、何よりも、自信が持てるようになることです。社長だけでなく、社員も自信を持てるようになるのです。

「俺の会社もけっこう良い技術を持っているじゃないか」

「私にはこんな能力があったんだ」

というように。

当たり前すぎて自分のノウハウに価値を感じていなかった社員が、自分のノウハウの価値に気づくことで、自信を持てるようになるわけです。

第三のベネフィット=できる社員の高質ノウハウの改良・発展が可能になる

第三のベネフィットは 自分のノウハウの改善・発展が容易になり、より価値の高いノウハウの創出が期待できるようになる、ということです。これは、自分のノウハウを開示した人(できる社員、熟練社員)が、ノウハウを見える化するプロセスを通じて、無意識でやっていた自分の思考法や習慣、思い込み等に気づくことができるためですね。

このベネフィットにより、ノウハウ開示を積極的には望まない社員に、ノウハウ見える化への協力を承諾してもらえるわけです。

第四のベネフィット= 熟練者の技術・技能承継が可能になる

第四のベネフィットは、2007年頃から問題になっている、退職間近の「熟練社員の技術・技能承継」の解決が期待できることです。

技術・技能承継の難しさは、

「伝えたくても伝えられない。」(熟練者は伝えるコトバを持っていない)

「教わりたくても教われない。」(若手社員は教わるための背景知識を持っていない)

ということにあります。

対話を通じて貴重なノウハウを見える化することで、この難しい問題の解決も期待できるようになります。

第五のベネフィット= 特許の効率的な取得と活用ができる

第五のベネフィットは、特許の効率的な取得と活用です。

ノウハウを見える化する時に事業上の価値があると分かった場合、は、特許取得のためのプロセスを開始しますが、発明者がノウハウをコトバにする方法を知っていれば、自分の発明の内容を弁理士に伝えやすいため、特許取得も効率的になります。

また、特許をどのように事業で使えば、事業に好影響を与えられるかが明確になりますから、特許の効率的な活用もできるようになります。

特許活用の面での私の長年の要望も達成されるわけですね。

以上が、ノウハウ等の暗黙知の見える化を考え始めた理由です。

なぜ弁理士が適任なのか?

ひとことで言えば、弁理士が持っているスキルは、ノウハウ等の見える化(言語化、図像化)をするのに最適だ、というのが理由です。

弁理士が特許明細書を作成する場合、弁理士はつぎのような三つのステップを実行します。

1.従来技術を考慮して発明Aのバリエーションを考え、それらを上位概念化(抽象化)することで発明Aの本質を掴む  ⇒発明Aの具体例を抽象化して本質を把握・言語化
2.その本質に応じて発明Aを上位概念化し、同時に目的(課題)と効果を設定して、発明Zを創出する
⇒発明Aの本質に基づいて発明Zを体系化して言語化
3.発明Zの構成(手段)を下位概念化(具体化)し、実施形態を作成する
⇒発明Zを具体例(実施形態)に展開して言語化

ステップ1の前には、発明者と対話することで、目に見えない発明という技術的アイデアを理解する、というステップがあります。

つまり、熟練した弁理士は、つぎのような能力(スキル)を持っているのです。

・発明の理解力と言語化力

・特許明細書の構想力

・発明者との対話力

これらの能力(スキル)は、暗黙知の見える化、つまり、「暗黙知高速学習システムの構築」 にぴったりなわけです。

暗黙知高速学習システムの構築」についての詳細は、例えばZOOM等の遠隔会議システムを使ってリモートで説明できますので、お問い合わせください。

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