代表・弁理士 泉 克文からのごあいさつ

あなたは、知人や友人からお聞きになって、このウェブサイトにいらっしゃったのでしょうか?
それともインターネットで検索していて、このウェブサイトにたどり着かれたのでしょうか?
はじめまして。泉特許事務所の代表で弁理士の泉 克文です。
私は、これまで、30年以上の長きにわたり、お客様(クライアント)の知的財産権の権利化をお手伝いしてまいりました。
実務経験は、弁理士になる前(弁理士試験合格は1987年)の修行時代を除いても、すでに30年を超えています。
その間に作成した和文特許明細書の数は1000件を超え、作成した英文特許明細書は500件を超えています。
もちろん、行ってきたのは特許出願(実用新案登録出願を含む)だけではありませんが、意匠登録出願や商標登録出願の数は特許出願(実用新案登録出願を含む)に比べるとかなり少ないです。
これは、いままで、私が、意識して、特許出願(実用新案登録出願を含む)を中心に仕事をしてきたからです。
よほどの事情の変化がない限り、今後も変わらないような気がします。
私は、理系の大学を卒業した元エンジニアであり、新しい技術(発明、アイデア)に強い思い入れがあるからです。
(注)私が担当して権利化された発明の特許公報(ごく一部)をご覧になりたいときは、活動実績(権利取得・活用)をご覧ください。
Contents
特許明細書を作成する際に一番大切にしたこと
ここで、私が特許明細書を作成する際に一番大切にしていることについて、お話しさせてください。
私が特許明細書を作成する際に一番大切にしているのは、「発明の本質をとらえ、その本質に基づいて、できるだけ有利な形で特許化(権利化)を狙う」ということです。
では、「発明の本質をとらえる」とは、どのようなことを言うのでしょうか?
これについては、大前研一氏が書かれた「企業参謀」(講談社文庫)という本が参考になるのでは、と思います。
「企業参謀」は、大前氏がマッキンゼー社で現役コンサルタントとして働いていた際に書かれたもののようですが、「本質的問題解決のプロセス」とはどのようなものかが、分かりやすく書かれていますので、引用します。
同書において、大前氏は、戦略的思考入門として大略、次のようなことを述べられています。
「具体的な事象をできるだけ多く取り出し、それらに共通する事項を元にしてグループ化をする。
初等数学でいう同類項の括り(くくり)である。
こうしてグルーピングされた事象群について、共通している事項を一言で言うとどうなるか、と考える。
そうして出てくるものが、グルーピングされた事象群の上位概念である。
これは抽象化するプロセスでもあり、このプロセスを経由することで、グルーピングされた事象群の本質が掴める。
そこで、本質に基づいて仮説を作る。
そして、その仮説に基づいて再度、事象群を具体化すると、事象群をそれらの本質に合致した形に整理できる。」
上記の引用文で述べられたプロセスは、私が特許明細書を作成する時に行う思考プロセスとほぼ同じです。
つまり、発明の具体例(実施形態)をできるだけ多く考え出し、それらに共通する事項を元にしてグループ化します。
こうしてグルーピングされた発明の実施形態群について、共通している事項を一言で言うとどうなるか、と考えます。
このとき、発明者から得た情報に従うだけではなく、「発明者の真の意図はこちらにあるのではないか」、「発明の本質は、発明者が伝えてきたもの(A)ではなく、むしろこちら(B)にあるのではないか」などと、何度も自問自答しながら考え抜きます。
そうして出てくるものが、グルーピングされた発明の実施形態群の「上位概念」です。
これは発明の実施形態群を抽象化するプロセスでもあります。
このプロセスを経由することで、グルーピングされた発明の実施形態群の本質が掴めます。
「抽象化する」ということは、「簡潔にする(シンプルにする)」ということですから、上記プロセスを通ることで発明の本質的な意義にピントを合わせることができ、その結果、発明の本質が浮き出てくるのです。
そこで、その本質に基づいて、仮説、つまり、仮の請求項(特許請求の範囲)を作ります。
そして、その仮の請求項に基づいて再度、発明の具体例(実施形態)群を具体化すると、発明の実施形態群をそれらの本質に合致した形に整理できるのです。
以上のようにして発明を上位概念化することで、その発明の本質を掴み、その後にその発明を表現する仮の請求項を文章化すると共に、その仮の請求項に沿った形で実施形態群を整理して書き直していきます。
こうすることで、特許明細書に書かれるべき発明の全体構成(案)が、発明の本質を的確にとらえた形で出来上がります。
あとは、それを特許明細書の所定の形式で文章化し、図面化すればよいのです。
基本的なプロセスは以上のとおりなのですが、上記以外に、法律や特許庁の審査基準、特許庁の審判例や、裁判所の判決例などを考慮して、権利になりやすいか、権利行使しやすいか、といった点にも注意して、発明の本質の捉え方を微調整します。
以上のようにして特許明細書が完成すれば、特許庁に提出し、審査官による審査を受けます。
審査の過程では、審査官が「この発明には特許できない理由がある」と判断することがしばしばです。
そのときは、拒絶理由通知書というものが送られてきますが、どのような権利範囲を持つ特許権が得られるかは、この拒絶理由通知書への対応の仕方によって決まるので、その対応力が非常に重要です。
しかし、最終的にどのような形で権利化されるにせよ、特許権は特許明細書(図面を含む)に書かれている内容に基づいて与えられますから、特許明細書(図面を含む)が発明の本質を掴んで作成されているか否かは、極めて重要であることは言うまでもないでしょう。
発明の本質を掴み損ねた内容で作成された(としか考えられない)、他の事務所で作成された特許明細書(図面を含む)について、中途受任した後に、審査官から拒絶理由通知書を受け、それに応答したことが何度もありますが、「もう少し異なる内容で書かれていれば、よりスムーズに、あるいは、より広い権利範囲で特許になっただろうな。もったいない」という思いをしばしば抱きました。
私は、以上のような経験も踏まえて、30年を超える期間、「発明の本質をとらえ、その本質に基づいて、できるだけ有利な特許化(権利化)を狙う」という方針でやってきたのです。
「発明の本質をとらえた特許化(権利化)」による結果
以上のような方針に基づき、私は、弁理士として、発明者が生み出した、目に見えない技術的なアイデア、創意工夫というものを、言葉と図を使って表わすこと、つまり、特許明細書という文書を作ること、そして、その特許明細書に書かれたアイデア、創意工夫が特許に値するかどうかを調べるために特許庁とのやりとりをし、最終的には、それを特許にするという仕事をしてきました。
その結果は意外に良好だったようです。
例えば、あるお客様(大企業)の案件では、国内/外国含めて100件弱の特許出願をし、その全体の特許率は約81%だったと、同クライアントの担当者から言われたことがあります。
また、国内/外国含めて40~50件くらいの特許出願をした別のお客様(ベンチャー企業)の場合でも、特許率は80%を超えています。
当然のことですが、「特許率を上げるために敢えて権利範囲を非常に狭くする」というような、せこいやり方はしていません。
すべて、可能な限り広い権利範囲を得たものです。
「特許率」というものは、その基になる発明の質がある程度のレベル以上であることが前提になるのは、言うまでもありません。
レベルの低い発明は、どのような弁理士が担当しても特許にはなりません。
レベルが一定以上ある発明であれば、たいていの場合、どのような弁理士が担当しても特許にはなるでしょうが、弁理士の能力に応じて特許の内容(権利範囲の広さ)、特許としての価値(権利行使のしやすさ等)がかなり変動します。
ここまで高い特許率が得られたのは、自分でも意外でしたが、非常にうれしく、幸福感を感じました。
そして、思いました。「今までの方針は間違っていない。このまま進めばいいんだ」と。
実際、お客様からも、「私が作成した特許明細書に満足した」との言葉をいただいています。
『(特許明細書の)原稿読ませて頂きました。
あのレベルのディスカッションで、これほどの文面を提供頂けた事に、改めて泉先生の凄さに舌を巻きます。
ほとんど修正する事も無いのですが、1箇所だけ計算違いがあるとの開発部からの話しがありました。
15ページの【0083】の項目で上から3行目中ごろ、(吹出風量)は312㎥/hの数値を83㎥/hに変えて下さい。
後は特に問題なさそうです。』(メーカー勤務 大友 明さん)
なお、お客様の期待通りの結果が出ているためでしょうか、今もお付き合いのあるお客様(クライアント)は、ほとんどが5年~10年(以上)の長期間、お付き合いが継続しています。
本当に感謝しています。
お客様の不安について
ところで、あなたが特許権や意匠権、商標権をとりたいと思ったとき、どの弁理士(特許事務所)に依頼すればよいのか、と迷われるのではないでしょうか。
例えば、「自社の発明について特許をとりたいが、どの弁理士(特許事務所)に依頼すればいいのか」、「こちらの希望に沿って親身になって対応してくれるのか、心配だ」というように。
また、例えば10人以上の弁理士が在籍する大規模事務所にするのがよいか、弁理士が1人または数人の小規模事務所にするのがよいか、についても、迷われることでしょう。
これについては、私は、あなたが個人事業主あるいは中小企業やベンチャー企業の経営者であるなら、小規模事務所をお勧めします。
その理由は、大規模事務所では、いくつかの大企業を主要な顧客として抱えているため、通常は、大企業の仕事が優先され、それ以外の仕事は後回しになりがちだからです。
さらに、大規模事務所の場合、優秀な弁理士は重要顧客である大企業の仕事に回され、あなたが単発的に依頼する仕事には優秀な弁理士が回されない可能性が大だからです。
その点で、大規模事務所に依頼しさえすれば、あなたが希望する仕事の質が担保(保証)されるだろう、と期待することは、必ずしも正しくないと思います。
私も、開業して間がないころから10年以上、大企業の仕事をした経験がありますが、上記のような取り扱いとなるのはほぼ間違いないと言ってよいと思います。
事務所の限られたマンパワーで受任したすべての仕事をこなそうとすると、どうしても仕事の依頼者に優先順位を付けざるを得ないからです。
小規模事務所であれば、大規模事務所の難点が生じないので、少なくともその点では好ましいのではないでしょうか。
「ここなら大丈夫そうだな」と思われる小規模事務所を選ばれればよいと思います。
費用については、大規模事務所の場合、私の目から見て「割高だな」と思われることがあります。
これは、大規模事務所では、弁理士以外に売り上げに寄与しない事務員がかなりの数いるからではないでしょうか。
どうしても、事務所のいわゆる間接費用が高くなってしまうからでしょう。
しかし、大規模事務所に強いコネがあるというような例外的な場合は、大規模事務所がいいでしょう。
あなたの仕事を優先的に取り扱ってくれることが期待されるため、上述したような大規模事務所の難点が生じないと予想されるからです。
また、中小企業やベンチャー企業でも、事務所に依頼する件数が多い場合(例えば年間10件以上の特許出願をコンスタントに依頼するような場合)は、マンパワーに余裕がある大規模事務所の方が安心かもしれません。
以上述べた点に留意して検討されれば、あなたの希望にかなう弁理士(特許事務所)の選択肢は自ずと絞られてくるように思います。
ここで述べた案内文が少しでもあなたのお役に立ちましたら、うれしいです。
なお、このような不安の解消のために、「弁理士(特許事務所)の選び方」というページを別に用意していますので、詳細はそちらをご覧ください。
無力感から「暗黙知見える化支援サービス」の開発へ
「今までの方針は間違っていない。このまま進めばいいんだ」との自信を得て、前向きに仕事をしていたのですが、ある時、なぜか無力感を感じました。
これは私にとって、非常に重要な「気づき」だったので、次に、そのことについてお話しさせてください。
その無力感が、弊所独自の「暗黙知見える化支援サービス」の開発につながったからです。
現在では、主として、中小企業やベンチャーが上述した特許・実用新案・意匠・商標の各権利をとるお手伝い(知的財産権の権利取得支援サービス)をしておりますが、それと並行して、暗黙知見える化支援サービス(暗黙知高速学習支援サービス)を提供しており、熟練者(ハイパフォーマー)が持っている暗黙知(カン・コツ・ノウハウ)を可視化して、後継者が熟練のワザを効率的に学習できるようにするお手伝いをしております。
では、上記の無力感が「暗黙知見える化支援サービス」の開発につながった経緯について、簡単にお話しさせていただきます。
もう10年くらい前になりますが、上記のように高い特許率を得ていたにもかかわらず、特許を取るという仕事について強い無力感を感じたことがあります。
それは、いくら特許権をとっても、それが直接的に企業の発展・収益アップにつながるわけではないと思えたからです。
特許権が直接的に収益を生む、あるいは、直接的に利益を生まないまでも、事業の競争優位にはっきり貢献するなら、問題はないのですが、私の知る限りでは、そのような場合は必ずしも多くないのが現状です。
その理由は、自社の事業で特許をどのように使って自社事業に貢献するのか、という点の見通しがはっきりしないまま、「いいアイデアができた。他社に真似されないように特許をとっておこう」、あるいは、「特許権を取って他社に有料でライセンスを許諾したい、あるいは、有償で譲渡したい」という考えで、特許権をとる人や企業が多いからではないか、と思います。
このような考えでは、排他独占権としての特許権の効果・価値は、あまり大きなものにはならない、と言わざるを得ません。
当時は、特許出願の総数が減少する一方で規制緩和により弁理士の数が急増し、過当競争が始まっていたため、何か新しいサービスを開発したいと思い、試行錯誤を続けていました。
そうしているうちに、あることに気づいたのです。
「そうだ。中小企業やベンチャー企業は、必ずしも特許権をとる必要はない。
特許権をとるのは、あくまで事業で競争優位を得るためだから、競争優位につながる見込みが大きいアイデア(発明)が生まれにくい企業の場合は、無理に特許権をとることを考えても仕方がないだろう。
でも、特許権とは縁がなくても、成長している中小企業やベンチャー企業には、必ず、企業の成長を促している原因があるはずだ」と。
そのような考えから生まれたのが、暗黙知見える化支援サービス(暗黙知高速学習支援サービス)です。
成長している中小企業やベンチャーには、必ず、優秀な経営者やエンジニアがいます。
言い換えれば、卓越した経営能力を持つ経営者や、ある分野で卓越した技術・技能を持つ熟練エンジニアがいるのです。
そのような人たちを「ハイパフォーマー(high performer)」と呼ぶことにすれば、ハイパフォーマーは必ず自身のハイパフォーマンスの元になる知恵(知識+スキル)を持っているので、その知恵を見える化(可視化)して後継者が効率的に学習できるようにすれば、後継者の知識とスキルを効率的にレベルアップすることが可能になり、したがって、社員の実務能力を全社的に底上げできるようになるはずです。
西暦2000年頃から問題になっていた「熟練社員の技能承継」については、次のようなことが言われていました。
「伝えたくても伝えられない。」(熟練者は伝えるコトバを持っていない。)
「教わりたくても教われない。」(後継者は教わるための背景知識を持っていない。)
しかし、暗黙知見える化支援サービス(暗黙知高速学習支援サービス)によれば、簡単ではありませんが、それが可能になるのです。
ハイパフォーマーの知恵(知識+スキル)には、種々の「暗黙知」、つまり、長年の経験から身に付けた「カン・コツ・ノウハウ」が含まれているため、その暗黙知(カン・コツ・ノウハウ)を何とかして見える化(可視化)できればよいのです。
弊所が提供する暗黙知見える化サービス(暗黙知高速学習支援サービス)は、大略、心理学で使われている認知的タスク分析の手法と、私が6~7年前からご指導を受けている森和夫先生(技術・技能教育研究所代表取締役)が開発された技能分析の手法を組み合わせたもの、と言えます。
30年以上の経験がある知的財産権の権利取得支援サービスに比べれば、経験ははるかに少ないのですが、また、個人事務所のためマンパワーが限られているのですが、今は、暗黙知見える化支援サービス(暗黙知高速学習支援サービス)にも力を入れています。
私が弁理士であり、エンジニアや研究者の発明をインタビューを通じて何度も権利化してきた経験から言いますと、中小企業やベンチャー企業のエンジニアや研究者が持っている、特定の技術やビジネスに関係する暗黙知(カン・コツ・ノウハウ)については、比較的容易に見える化して学習用テキストに落とし込むことができるのでは、と思っています。
エンジニアや研究者以外のハイパフォーマー(経営者、営業担当者、店頭販売員、看護師など)が持っている暗黙知(カン・コツ・ノウハウ)については、弁理士としての経験が直接的には反映されないので、難易度が少し上がります。
その場合は、ハイパフォーマーとのインタビューを行う前に、そのハイパフォーマーの実務能力の理解に寄与する関連情報をあらかじめ提供していただき、それについて学習する手間と時間を考慮していただければ、可能になると思います。
終わりに
以上、30年以上にわたる泉 克文(泉特許事務所)の仕事ぶりについて、お話ししてきました。
あなたが特許・実用新案・意匠・商標といった知的財産権の権利取得をお考えなら、また、そこまでは至っていないが、これらの権利取得や活用に興味があるということでしたら、お気軽にご相談ください。
また、あなた自身やあなたの会社に、「ハイパフォーマー(熟練者)の退職時期が近づいているので、早急に後継者に伝承したい」、「ハイパフォーマー(熟練者)の知恵を他の社員にも広めたいのだが、その方法がわからない」といった事情がある場合は、暗黙知見える化支援サービス(暗黙知高速学習支援サービス)をご検討ください。
その際に不明点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。
ご要望があれば、ご相談またはお問い合わせのあった課題に関するコンサルティング(有償)も可能です。
現在、部分的に在宅勤務を取り入れていますので、お問い合わせとご相談は、可能な限り、Eメールでお願いします。
お急ぎの場合は、携帯電話にお願いします。
必要に応じて、ZOOMを利用した面談もさせていただきます。
泉 克文と泉特許事務所は、知的財産権や暗黙知に興味のあるすべての方にとって身近な存在でありたいと思っています。
あなたのそばにある知的財産権や暗黙知を活かすことで、より良い事業経営、より良い人生が送れますよう、お祈りしております。
以上