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おそらく、あなたも、特許権や意匠権、商標権をとるときにどの弁理士(特許事務所)に依頼するべきか、迷っておられることでしょう。

そこで、泉が、依頼する弁理士(特許事務所)の決め方をお教えしましょう。

費用(弁理士報酬)の観点から

まず、費用(弁理士報酬)の観点からお話ししますね。

特許出願を弁理士(特許事務所)が代理する場合の費用(弁理士報酬)の相場(消費税抜き)は、30万円~50万円くらいだろうと推測します(弊所はそのようになっています)。

その金額を大きく下回る費用をうたっている弁理士(特許事務所)、例えば、10万円台を提示しているような、価格勝負の弁理士(特許事務所)はお勧めしません。

その金額で良質の特許明細書(図面を含む)を作成して特許庁に提出する、というのは、良質の特許明細書(図面を含む)を作成するのに要する手間と時間を熟知している私からすれば、無理があると思われるからです。

ダンピング(採算を無視した低価格で商品を投げ売りする)をしているとしか思えません。

30万円~50万円くらいという上記金額は、特許明細書(図面を含む)を作成するには通常、数十時間を要することを考えれば、リーズナブルだと思います。

タイムチャージで換算してみてください。

30時間(実働約3~4日)で完成して30万円を請求するとして、時給は1万円、30時間で完成して40万円を請求するとして、ようやく時給1.6万円になります。

時給1万円というのは、国家資格と豊富な実務経験を持つプロフェッショナルの報酬としては、低すぎると思います。

時給1万円の中には、特許明細書作成に直接的に要した費用だけでなく、図面作成費用や事務員による事務連絡(出願報告書の送付等)に要する費用もすべて含まれているからです。

時給1万円(あるいはそれ以下)では、賃貸で特許事務所を開設・維持するのは大変でしょう。

私の場合を振り返ってみると、案件によっては、時給1万円(あるいはそれ以下)と算出されることがありました。

が、それは、例えば、発明に関する技術の知識不足を補うために、関連する特許公報を調査したり本を買って勉強したりした時間が含まれるからであって、その時間を除くと、許容範囲に収まっているように思います。

以上の点から、上述した相場の金額を念頭に置き、あなたの予算を考慮して検討されるよう、お勧めします。

依頼した案件の取り扱いの観点から

次に、依頼した案件の取り扱いの観点からお話ししましょう。

例えば10人以上の弁理士が在籍する大規模事務所にするか、弁理士が1人または数人の小規模事務所にするかですが、あなたが個人事業主あるいは中小企業の経営者であるなら、小規模事務所をお勧めします。

その理由は、大規模事務所では、いくつかの大企業を主要な顧客として抱えているため、通常は、大企業の仕事が優先され、それ以外の仕事は後回しになりがちだからです。

さらに、大規模事務所の場合、優秀な弁理士は主要顧客である大企業の仕事に回され、あなたが依頼する仕事には優秀な弁理士は回されない可能性が大です。

その点で、著名な大規模事務所に依頼しさえすれば、あなたが希望する仕事の質が担保される、という考えは、必ずしも正しくないのです。

これは、私も開業して間がないころにそのようにした経験があるから、ほぼ間違いないと言ってよいと思います。

事務所の限られたマンパワーで受任したすべての仕事を納期を守って仕上げるには、どうしても仕事の依頼者に優先順位をつけざるを得ないのです。

また、これは、「費用(弁理士報酬)の観点から」の部分で述べた方がよいかもしれませんが、大規模事務所の場合、請求される費用が、私の目から見て「割高だな」と思われることがあります。

これは、大規模事務所では、弁理士以外に、売り上げに寄与しない事務員をかなりの数、雇用しているからではないでしょうか。

どうしても、事務所のいわゆる間接費用が高くなってしまうからではないか、と推測できます。

しかし、大規模事務所に強いコネがあるというような例外的な場合は、大規模事務所がいいでしょう。

あなたの仕事を優先的に取り扱ってくれることが期待されるため、上述したような大規模事務所の難点が生じないと予想されるからです。

ベンチャー企業や中小企業でも、依頼する仕事の件数(頻度)が多い(例えば毎月、少なくとも1件の特許出願依頼がある)と見込まれる場合は、マンパワーに余裕があり、組織が整っている大規模事務所の方が安心できそうです。


以上述べた点に留意して検討されれば、弁理士(特許事務所)の選択肢は自ずと絞られてくるように思います。

上記は、あくまで泉の個人的な見解ですが、おそらく、他の多くの弁理士の見解も、私のものとはそれほど違わないのではないか、と思います。

少しでもあなたのお役に立ちましたら、うれしいです。